秋の遠足






「パフェは菓子に入るはずだ。だってどうみたっておやつだし。デザートだし。菓子だし」
「…確かにそうかもしれませんけど、金額オーバーだし、第一、どうやって遠足にそんなもん持ってくんですか!?
何か、あんた、誰かに持ってこさせるきか!?金持ち特権でも使って、誰かに持ってこさせるきか!?このボンボ
ンてんパ!!」
「るせーな。さすがにそこまでしねーよ。現地で作るんだ。本場のパティシエをつれて」
「もうお前っブラックホールへ飲み込まれてしまえ!!」

朝から珍しく、勘七郎は起きていた。いつもならば、平日だろうと情け容赦なく、お昼まで寝ているのにだ。


近々、遠足があるらしく、ここ最近は、楽しみのせいか早起きになっていた。

「でも、さすがお金持ちの通う学校は違いますよね〜遠足で宇宙日帰り旅行なんて。どんな社会見学をかねた遠
足なんだか」
「うらやましいだろ。お前が通っていたボロ寺子屋とはうんぬんの差だ。月とすっぱだか!」
「月とスッポンです!裸でたまるかーーー!!!」
「変わらない。変わらない」
「180度は変わります。その違いははっきりさせたいです!!」

ここは勘七郎の部屋でもなければ、橋田家の家でもなく、普通のお店。
よって、朝だとはいえ、お客はいるわけで…その注目を一身に浴びていた。

遠足のお菓子、これは誰もが楽しみに、母親なんかと買いに来る、遠足前のビッグイベントでもある。
何を買おうか悩んだり、どれだけ多くの菓子を数百円で抑えるかといった知恵比べ的なものもあったりしたり、しな
かったり…
けれど、それも小学生くらいまで、中学になると一人で買いに行ったり、親が勝手にその辺の詰め合わせとか買っ
てきてしまったりする。
イベント性はかなり薄れ行く年頃だ…が、



「これとあれと、それとあれ。いや、まて…全部だ」
「お前、遠足の菓子をなんだと思ってんの!?全部って…選ぶ意味ないんだけど!?」


勘七郎にとってみれば、いつまでたっても楽しみなイベントらしかった。

「勘ちゃ――ん!!これ何ョ?変な味。カエルチョコレートだって」
「ハリー・ポ●ター!?ていうか、楽ちゃん!!お店のものを無断で食べないで!!!まだ清算もしてないんだけ
ど!?」
「細かいこと気にしすぎるとハゲるってマミィがいってたョ」
「このさい、ハゲはどうでもいいの!!お店のものは無断で食べちゃダメ!!捕まるから!!」
「ふ。庶民だな。んなもん、後でいくらでも払えばいいだろう?そして菓子も全部買う」
「かんけーねーだろーー!!庶民でも金持ちでも犯罪は犯罪なんですけど!?もうちょっとマナーを考えろ。お国の
ルールってのがあるの知ってる!?」



やっぱり何をやっていても目立ってしまう3人だった。
が、そんな迷惑極まりない人たちだったけれども、ここの店長は全く口出しをしていなかった。逆に…

「勘七郎様。お目当てのものはお決まりになりましたか?格安で売らせていただきますよ」

ヨイショ、ヨイショで、腰を低くし、手をこまねいていた。
実はここも、橋田屋関連の店であったため、社長の孫である勘七郎に何も文句はつけれない。

「あれ?ほんと?別にいいんだよ。値下げしなくても〜〜でも〜〜そこまでいうなら甘えさせてもらうよ〜〜♪」
「…金持ちなんだから普通に買えるだろ。だから貧乏人が苦労するんだよ。このボケ」
「あ?なんか言った?新海くん?首になりたい?」
「何も申しておりません。勘七郎様。それじゃ、お菓子すべて購入しておきますので」
「うん。たのんだよ〜〜」
「はい。でも1日で全て、食べ終えてきてくださいね。残したりしたら地球に悪いですからね。ね、楽ちゃん」
「うん。マミィもいってたョ。この世で一番許せないのは飯粒を残す人だって。もしマミィがその場を見つければ切腹し
てあげたいくらい、許せないって」

にっこりと新海は勘七郎にほほ笑んだ。
残してきたら楽の母に告げ口する気満々だった。

「…新ちゃん。それだけは止めよう。だってあそこのおばさん、まじきついもん。強すぎだもん。楽の母親だぞ。反則
的な強さじゃないかな」
「はい。しってますよ」


真顔で答える新海。

「うん…だってあたしでも怖いもん。マミィだけは怖いもん」

思い出して楽まで震えるこの始末。




「いや…だから、それだけはやばいって。まずいって」




もっと震えて、青ざめてきた勘七郎。

だったけれど、それをすべて無視し、




「すいませーーん。これ、全部下さい。ひとつ残らず」
「はい。かしこまりました」
「ちょっ…まてって!!まって!!無理無理無理無理!!!命がいくつあっても無理いいいい!!!おいこら店長
!!何さわやかな笑顔で菓子を集めてんだよ!?そんなことして店つぶれてもいいのかよ!?おかしくね?おかし
いよな?何なのこの陰謀!?」
「しかたないョ。後はあたしに任せたらいいョ。全て食いつくしてやる」
「ほんとかーー!!ありがとう楽!!持つべきものは怪人だな!!」
「菓子以外をな」
「なに食べるんだよ!?菓子じゃないのかよ!?」




その後、宇宙船ではお菓子パーティーが開かれたみたいでしたが…それでも売れ残り…

結果。





「うふふふふふ。楽から聞きました。物を粗末にしたらしいじゃないの」
「すんませんでしたあああ!!!許してくださいこの通り!!」
「ふふふ。ゴメンですんだらこの世に切腹なんて存在しないわぁ。腹斬れよ」







「ギャアアアアアア!!!!」





End




食べ物は粗末にしちゃぁいけません。

勘七郎はわがままお坊ちゃん、て感じで書いてみてしまいました。
銀さん要素はガキってとこですかね。
中学だろうと遠足は楽しみだって感じで。

最後に楽ママを出してみました。
この方の設定も色々とあるんですけど…最強な理由とか。まぁ、おいおいで。
最後のセリフで誰のイメージキャラか分りますかね〜




09.23
あめ梟


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