ゴミ屋敷






「これは…か、勘七郎様……」


新海は、勘七郎の部屋の前で茫然と立ち尽くしていた。
目の前に広がる惨劇を受け止められなかった…

「なんですかこのゴミの山はっ!?」

壮絶に散らかりまくりの、ゴミが文字通り山のように積み上げられていた。



「るせーるせー。なにがゴミか!全部いるもの、
全部……ジャンプまみれで悪いかコノヤロー!!!」

「なんで逆ギレ!?ありすぎだろう?一体何か月分ため込んでんですか?
この広い部屋がジャンプの柱まみれじゃないですか…」

呆れていいのか、怒ればいいのか、泣けばいいのか、笑えばいいのか……とにかくひどすぎた。

「文句があるなら、お前も真似てみやがれ!まぁ、俺に適うはずはねえけどな!」
「なぜそうなる!?そして敵いたくない!!真似たくない!!馬鹿じゃん。あんた馬鹿だろ?」

あと色々と文句が言いたかった新海だったが、そこへ横やりが発生。


「そんなジャンプの中からあの雑誌を探し求める方がダンゼン面白いョ?エロ本とか」
「らーくーちゃーーん!?一体そういうことはどこで覚えてくるのーー!?
ていうかいつの間にいたんだよ。不法侵入なんですけど!?」
「私に不可能はないんだョ。そしてほら。ここに例の雑誌も発見」
「ぎゃーー!?なっ楽!!おま…返しなさい!!それ俺の…いや、新海のだから!!」
「罪をなすりつけてんじゃねー!分かる嘘はやめんかい。
……て、勘七郎様、顔、真っ赤ですよ」
「き、気のせいだ。これは…酒の飲みすぎで!」
「お前はいくつだ。そっちの方がやばいんですけど!?
法的問題に発展しちゃうんですけど!?」
「わーぎゃーわーぎゃーうるさいわョ。
男なら堂々と道路の真ん中でエロ本を読破するがよし!顔をにやけさせてな!」
「「できるか!!」」

よけいにややこしくなるガキが勘七郎の部屋に潜入していた。
赤髪にオレンジ色の変わった着物をまとった少女はおもむろにエロ本を探し出した。
見た目はまだそんな雑誌の存在すら知らないと思われる小学校の低学年くらいの年ごろなのだが…


「ちょ…なにジャンプひっくり返してんだよ!?楽―――!!!
そしてなぜエロ本のありかがわかるんだよお前は…あああ!!!さわらないでーーお願いーーー!!!」

そう、勘七郎は騒ぎまくり、楽をひょいっと、雑誌の山から救いあげるように持ち上げた。


「やっぱりやましいことがあるんだョ。だから必死になるんだョ」
「いや、もうその雑誌がある時点で明白だしね。君が握ってるその雑誌だよ分かってんの楽ちゃん?」
「楽…ほんと、やめて、ね?」
「どうしたの勘ちゃん、すごい汗だョ?冷房効いてるのに〜変なの〜」
「…殴っていい?女だけどこのマウンテンゴリラ殴っていーい?」


勘七郎は変な汗がでまくっていた。
そんな主人を横目で見、新海はこの部屋を呆れたように見まわしていた。

「よくこんなにジャンプやらを集めたもんだよ …て、昨日まで、こんなに無かったじゃありませんか?
せいぜい、5,6冊がそこらに散らばっていたくらいだったでしょ?一体いつのまに…」
「あー…まぁ、なんだ…ちょっとその…前の67話が気になって
…探してたら、なんかもう1回読破してみたくなってよぉ……こうなっちまった」
「なんでだよ!?どうなったらここまでに発展するんスか!?ていうか67話て何!?」
「67話は67だよ新海くん。それより、お前も、探すんじゃねーぞ。掃除すんじゃねーぞ」
「…何言ってるんですか。だったら、最初からこんなにジャンプまみれにして、
その隙間にエロ本とか隠さないで下さいよ。こんなにたくさんの雑誌にまみれてるからって
…ありえないでしょもう、10冊以上はあるじゃないですか。ねぇ楽ちゃん」
「うん。ほらこんなに見つけたョ。ちり紙交換ださないと」
「なんでお前はそう、人の知られたくないものばかり見つけ出すのが得意なんだ!?あーもう!!」
「そんなに困るんだったらもっと人のいないところで読みふけってください。
いいんですか、僕とかだったらまだしも、他の使用人たちに見られても」
「いいんだよ。だって今日はみんな休みだもーン」




そういえばそうだったと、新海は思い出した。

こんなに勘七郎の部屋は騒がしかったのにこの騒動を聞きつけてくるものはいなかった。
今日は有給休暇をとってる人たちが大勢いたからだった。
いや、断じて、集団でボイコットしているとかではない、断じて。
ただの夏休み。子供とキャンプやら、海やらと忙しいらしい。


「…って、安心してるからですよ」
「へ?」


そういった新海はドアの方向を指さす。
そこには数人の使用人がつったっていた。

「げ」
「…勘七郎様。見ましたよ」
「だからいったじゃん。だからいったじゃん」

なぜか新海は棒読みで同じ言葉をくりかえし、
勘七郎は顔を青くしていたのだった。
と、思っていたら、意外な展開に。


「新海くん、この部屋の掃除まかせたからね」
「へ?」
「しっかりと、掃除して…ああ、それと古紙回収は水曜日だから。じゃ」

とばっちりは新海であった。

「あ…れ?」


エロ本なんてもっているのが当たり前なのか、
はたまた、偶然にも見られないですんだのか、ただのゴミの山としてみていなかったのか定かではなかったが、
とにかく勘七郎は赤っ恥はまぬがれたらしい。



「なんで…僕が…あ、いや、使用人だからだけども…」
「使われる身はいつも何かと理不尽なのだョ」
「……楽ちゃん。ほんと、君はいつも何の影響を受けてるんだよ」


何か釈然としないものがあったけれども、新海ははぁとため息をつき、
ジャンプとの格闘を勤しむことにしたのだった。



…が、



「だーかーらーだめだって!探すんじゃねーー!!」
「じゃーどうやって掃除するんスか!?ここ掃除しなかったらね、
また変な仕事を押し付けられるんですよ!下っ端はつらいんですからね!!!」
「それはお前だろ?俺は主人だ。使用人は主人の命令をきくもんだ!」
「主人だからって、部屋をこんなゴミ屋敷にしていいと思ってんのか!?
いいから片付けますよ。それとも自分でやってくれるんですか勘七郎様?」


勘七郎はその言葉にう…と声がつまった。そりゃこんな面倒なこと自分じゃなくて人にやらせてしまいたいが…



「お、俺のプライドがゆるさねえ!」
「そんな意味分かんないプライドなんてドブにすててついでに爆破して灰も残さず、 きれいに葬り去ってしまってくださいよ」



その後、意味のない、いい争いが続くも、
そのすきに楽にいろいろと雑誌を発見させられ(まだ出てくるわ、出てくるわ)
結局、もう、あきらめがついたのか、勘七郎は新海が片付けるのを納得した。

「はじめからそうしていればよかったんですよ
…たく、なんて教育に悪い人なんだよあんたは!!て、楽ちゃん!そんなものまじまじ見ないでね!!」
「はん!何を言うか。思春期にはなぁ、こういうもんが大事なの!これが男の教育さ!!」
「お前はいくつだ!!中坊だろあんた?僕より年下だろあんた! そして楽ちゃんは女の子だし、思春期でもない」
「大丈夫だョ。こんなものみて興奮するのはただの変態ョ。鼻血たらして死ねこら」
「それは何か、俺が変態だとでもいいたげだな楽?」
「そうだと思いますけど」
「それと死んでほしいだけだョど変態」
「心配するな!俺は正しい、善の清く正しい変態だから」
「変態に正しいもクソも善も悪も清いも汚いもあるんですかああ!?」
「だったらいいんだョ」
「いいの!?ていうか何が、どう変わったっていうの!?事細かに説明を願いたいですけど!?」

そんなやりとりをしながらも、
ジャンプの山は崩され、そしてまた変な雑誌もまだまだ、発掘されるのであった…








「おう!これはここにあったか!!」
「いくつ出てくれば気が済むんだよ!?」
「あ。これあたしの家にもあったョ」
「「まじでか」」





End




初小説でエロ本しかでてこないなんて…あっれぇアタシ何してんのかぁ
なんて思いますけども…まぁ軽くスル―しておいてください(ははは…はぁ
とりあえず、何か小説かいときたかったんです。

そして、未だに楽ちゃんのしゃべりが特定できてないダメ作者です。
別にカタコトではない設定なんですけど…最後についてる「ョ」はかざり的な感じかなぁなんて…すいません曖昧なんです。

勘七郎はまだガキなんだという感じで書いてみました。
いつもナマイキなんだけど、でもやっぱ年相応にガキ、という設定でいこう。うん。よし。(何が




09.09
あめ梟


▲戻る▲